PROFILE

Mayumi Natsu

夏まゆみ / PROFILE

1962年、寅年生まれ。ダンスをツールに人材育成・指導・振り付けを行う第一人者。1993年、ニューヨークのアポロシアターにて日本人初のソロダンサーとして出演し、絶賛を浴びる。98年、冬季長野オリンピック閉会式で老若男女数万人が一度に踊るための振り付けを考案・指揮する。99年、モーニング娘。の「LOVEマシーン」では老若男女だれもが楽しめる振り付けが大反響を巻き起こし国民的ヒットソングに。振りを真似をする人が続出して社会現象にまでなる。ほとんどがダンス未経験者で結成された「素人集団」だったモーニング娘。、AKB48を短期間の指導でプロに育て、国民的アイドルへと成長させた「育ての親」として知られ、「振付指導を通して生き方を教えられた」といまも教え子たちはその教えが指針となっていると口にするほど。一人ひとりの個性が輝くように計算されたフォーメーションの見せ方、親しみやすくキャッチーな振りはそれまでのアイドルの在り方に革命をもたらし、振付師としても指導者としても、現在の日本アイドル文化の基礎を作ったと言われる。

吉本印天然素材、ジャニーズ、宝塚歌劇団、マッスルミュージカルなど個人から団体に至るまで手がけたアーティストは300組以上、ダンス指導は延べ200万人以上におよぶ。NHK紅白歌合戦では20年以上にわたりステージングを歴任。ジャンルを超えたアーティスト同士のコラボを演出し、日本の老若男女が楽しめるステージを披露しつづけてきた。また2014年に出版した『エースと呼ばれる人は何をしているのか』(サンマーク出版)はベストセラーとなりビジネス界からも指導者としての手腕に注目が集まると、幹部候補生や新人研修、プロアスリートへの研修なども行うように。

ダンスの普及や振付師の地位向上にも長年取り組み、文部科学省による「ダンス必修化」にも協力を行う。振付師のクレジット表記の重要性も提唱しつづけ、NHK紅白歌合戦ではそれまで掲載されることが皆無だった「振付師:夏まゆみ」のクレジット表記の実現を果たす。近年は「振付に著作権を」という目標を掲げ、さらなる振付師の地位向上に努めていた。

晩年は、テレビのダンス企画やダンス大会の審査員も積極的に務める一方、「自身の体験等を一人でも多くの人に伝えることで日本を元気にしたい」「人生の集大成の本にしたい」との特別な思いから、治療と並行しながら3年間もの長きにわたり原稿執筆をつづけ、2023年3月に刊行された『人はいつでも、誰だって「エース」になれる! 心とからだが輝く72の言葉』(ビジネス社)が遺作となった。